ナット交換.溝切り.調整【最近のギター/ベース・リペア・メンテナンス】2021年7月28日




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今回、お客様からナット交換のリペアを承りました。

ナット交換は、前回のフレット交換でも少しだけ紹介しました。



前回の記事
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フレット交換/ナット交換【最近のギター/ベース・リペア・メンテナンス】



前回のナット交換はフェンダーのストラトキャスタータイプのナット交換でしたが、今回はギブソンのレスポールタイプのナット交換になります。

フェンダータイプとギブソンタイプのナットで大きく違うのは、ナットのサイズが違います。

フェンダータイプは細目のナット、ギブソンタイプは太めのナットでアコースティックギターなどにも使用します。

どちらの方が良いという事はありません。

楽器の構造上、製作上の違いですね。



まず、お客様から依頼された時にお話した内容になります。



・この楽器は、以前、家の近くの楽器店にナット交換をお願いしたとの事

・その時に店員さんから、
「うちの店ではどこまでできるかちょっとわからないですけど…」
「ナットを無事に外すのもできるかどうか…」
「できなかった場合は、そのまま返品させていただきますけど…」
「その場合はナットや他の部分に傷がついているかもしれません…」
「それでもよろしければ、一度お預かりさせていただきますが…」

・やっぱりナットを外す事はできなかったようで、返品になったとの事

・ナットに傷が多々あるとの事

・ヘッドの塗装部分にも少しだけ傷が入っているとの事



お客様自身は上記の事は了承済でリペアをお願いしたので、ナット交換ができなかった事や、ナットやヘッドに傷が入っている事に対しては、特に気にしなかったそうです。

(ナットに関しては、これから外すナットですし。)

店員さんも『現状で』できる限りの対応をしてくれたので、そこも別に気にならなかったとの事。

それよりも、

「無事にナット交換をしてくれるお店やリペアマンがいるのかな~!?」

という事の方が、気になって、心配していたそうです。



その後、ネットでいろいろと検索して、しっかりとナット交換してもらえそうなお店を探したそうで、

なんだかんだで、ありがたいことに、私がリペアをさせていただくことになりました。

どうもありがとうございます!



早速、写真にて順番にお話したいと思います。





ではまず、最初の状態を見ていただきたいと思います。

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ナットはラジオペンチで無理やり外そうとしたのか、ペンチの傷が多々あります。

塗装部分もペンチの小さな傷が入っていたり、塗装が欠けている部分もあります。





ナットを無事に外した状態です。

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ナットを外すには、ナット外しの方法があって、それを駆使するリペアマンの技術が必要なんです!

実は無理やり外そうとしても外れないんです!

ですので、普通の楽器店の店員さんや、少しリペアをかじった事のある店員さんとかでは、基本的に無理なんです。

(経年変化で接着剤の強度が弱まった時は、勝手に取れる時があります。)

外した所は、固まった接着剤がかなり付いています。

ここからナット溝に付いた余分な接着剤を除去して、綺麗なナット溝を作り直します。





外したナットになります。

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ナットは傷だらけですね…

ところで、ギブソンのレスポールって基本的に、プラスチックのナットが純正で標準装備されているんですよ。

写真の外したナットもプラスチックです。

(なぜ、牛骨のナットを使用しないのかな~!?)

んっ!?

プラスチック!?

プラスティック!?

プラッチック!?

正式名称は、

プラスティック!?

ま~、

今は、どうでもえ~か。





新品のナットを加工している所です。

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新品のナットは、加工前はナット溝よりも大きい為、ナット溝にジャストサイズになるように、

削ったらサイズ確認、削ったら再度サイズ確認を繰り返しながら、微調整しながら加工していきます。

そして、ジャストサイズになると、写真のようにナット溝に綺麗にはまります。

もちろん、まだ接着剤で接着していません。

接着剤で接着していない状態でも、ここまでギリギリの状態までジャストサイズに加工します。

私が基本的に使用しているナットは、牛骨のナットを購入して、自分でオイル付けにして仕込んだ物になります。

(なぜ、わざわざオイル付けにするのか!?理由は話し出すと長くなりそうなので…)





ナットを接着して、弦溝を加工します。

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ナットを接着する時は、接着剤を付けすぎないのがコツです。

(工場出荷時は、ハッキリ言って接着剤を付けすぎです。)

弦溝は専用の工具を使って加工していきます。

実際に加工していく時は、写真よりも、もう少ししっかりとマスキングテープや紙などで保護して、傷が付かないようにします。





最終的な弦溝も切り終えて、ナット全体の形状も加工した所です。

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最終的な弦溝の深さは、楽器の種類やフレットの高さなどを考えながら慎重に仕上げていきます。

写真にはしていませんが、一度弦を張って、簡単に調整した状態にして、そこから弦溝を1個ずつ慎重に仕上げていきます。

一削り多かっただけで、削りすぎてしまう事もある為、かなり慎重に仕上げていきます。

ナット交換の一番重要な所になります。





私の場合は、最終的にナットを磨き上げまでします。

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ナット自体に光沢が出たのがわかると思います。

今回はメンテナンスも合わせてお預かりしていたので、弦を張って、メンテナンスをして完了です。



もっと細かく言えば、詳しく書く部分はまだまだ多々あるのですが、大まかな流れはこんな感じになります。

以前は、ナットの高さを弦溝ギリギリくらいまで削って加工していたのですが、最近は写真のように、弦が溝にスッポリと入るように少し高めに加工しています。

ハッキリ言ってどっちでもいいんです!

見た目の問題だけですので。

この辺はリペアマンの気分次第です!



時々、お客様でいらっしゃるのですが、

ナット交換しなくても大丈夫な状態なんですが、

「ナット交換お願いします!」

と…

ナット交換しなくても大丈夫と詳しく説明しても、

「ナット交換お願いします!」

と…

ナット交換よりも、メンテナンスやリペアしないといけない別の部分の方がかなり気になるし、大事なんですけど…



全国のしっかりとしたリペアショップやリペアマンにお願いする場合は、

大まかな内容を伝えた後は、基本的にお任せした方がオススメです。

(逆に、リペアマンからお聞きする事の方が多いですので。)

なぜなら、熟練のリペアマンは楽器を部分ではなく、トータルの状態で考えています。

ま~、それがリペアマンの仕事なんですけどね。


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